SHIKIMEI REVIEW
速水御舟の全貌 日本画の破壊と創造
速水御舟 《彼南のサンパン》
1931(昭和6)年 絹本裏箔・彩色
長谷川町子美術館
速水御舟の全貌 日本画の破壊と創造
速水御舟 《洛北修学院村》
1918(大正7)年 絹本・彩色
滋賀県立近代美術館
[10/8-11/20 展示]
速水御舟の全貌 日本画の破壊と創造
速水御舟 《墨竹図》
1925(大正14)年
紙本・墨画
霊友会妙一コレクション

速水御舟の全貌 日本画の破壊と創造

山種美術館

誤解を恐れずに言うなら、日本画のマイルス・デイヴィス。速水御舟の歩みを丹念にたどっていくと、そんなふうに捉えたとしても、あながち間違いではない、と思えてきます。マイルスが何度もスタイルを変えながら、ジャズの可能性を広げていったように、御舟もまた、日本画なるものの改革者として、さまざまな挑戦を行なったからです。

開館50周年を記念した特別展「速水御舟の全貌」は、山種美術館が誇る120点もの御舟コレクションを中心に、およそ80点もの作品がずらりと並ぶ好企画。早熟な少年時代から、早すぎた晩年に至るまで、画家の人生を追いながら、作風の変遷と発展を検証していきます。

日本画のありようを自在に解きほぐしつつ、新しい方向性を模索し続けた御舟。その探究者めいた姿には、明治以降の近代日本が重ねてきた〝西洋〟との苦闘を重ねることさえできるでしょう。御舟の残した言葉には、こんなものがあります。いわく、「梯子の頂上に登る勇気は貴い、更にそこから降りて来て、再び登り返す勇気を持つ者は更に貴い」。

古典の模写から技術を身につけ、新たな色彩表現や質感描写へのこだわりを経た後、静物画や花鳥画の世界に革新をもたらしながら、画面構成の工夫や渡欧体験から得た知見を活かすなど、御舟は何度も〝梯子の頂上〟に登り、さらにそこから何度も〝降りて来て〟、自らが満足いくかたちの表現を追い求めていきました。

大きな見どころは、なんといっても重要文化財に指定されている〈炎舞〉と〈名樹散椿〉が、同時公開されていること。着想においても、技巧においても、御舟という画家の卓越した才能がうかがえる傑作であり、歴史にその名を刻む名品を、ともに堪能できる機会はなかなかありません。日本美術ファンは必見です。

会期:2016年10月8日(土)〜12月4日(日)
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日
入館料:一般1200円、大高生900円、中学生以下無料
http://www.yamatane-museum.jp/exh/2016/gyoshu.html

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