SHIKIMEI REVIEW
杉本博司 ロスト・ヒューマン
仏の海 1995(展示風景)
Sea of Buddha 1995 Installation View
© Sugimoto Studio
杉本博司 ロスト・ヒューマン
ラストサパー サンディ 1999/2012
ゼラチン・シルバープリント
The Last Supper:Acts of god(Sandy) 1999/2012 Gelatin silver print
&vopy; Sugimoto Studio
杉本博司 ロスト・ヒューマン
杉本博司《フランクリン・パーク・シアター、ボストン》
(黒澤明『羅生門』1950)2015年、ゼラチン・シルバー・プリント
Hiroshi Sugimoto《Franklin Park Theater,Boston》
(Rashomon,1950,directed by Akira Kurosawa)2015
Gelatin silver print © Hiroshi Sugimoto/Courtesy of Gellery Koyanagi

杉本博司 ロスト・ヒューマン

東京都写真美術館

杉本博司さんは、〈ジオラマ〉シリーズや〈劇場〉シリーズ、〈海景〉シリーズなど、明快なコンセプトの下、大型カメラで撮影された精緻な作品で知られる現代美術作家です。今回のテーマは、人類と文明の終焉という気宇壮大なもので、〈今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない〉、〈廃墟劇場〉、〈仏の海〉の3つのセクションで構成されています。

〈今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない〉は、1フロアをまるまる使ったインスタレーション。会場内は、〝理想主義者〟〝政治家〟〝ロボット工学者〟などと題された33のシナリオで構成され、杉本さんの作品を含め、古美術、化石、書籍や雑誌、歴史的資料、人形、ガラクタ(!)などが並ぶしつらえになっています。

ときにはシリアス、ときにはユーモラス。混沌とした中に、杉本さんの美意識が見え隠れしながら、全体としては不思議な静けさをたたえているため、いつしか未来の廃墟を巡礼しているような感覚すらおぼえるのです。

もうひとつのフロアでは、新シリーズの〈廃墟劇場〉に加え、杉本さんが10年以上にわたって取り組んできた〈仏の海〉シリーズによる新たなインスタレーションを展開しています。前者は、現代文明を象徴する21世紀のアメリカで、朽ち果てた映画館を撮影したもの、後者は、平安末期の京都に建立された三十三間堂を捉えたもの。

本来なら、接点などもたないもの同士なのに、ここでは、写真というメディアを通過させることで、同じ問題意識を映し出す鏡になっています。これは、きわめて知的な企みに満ちたエキシビションであり、人類と文明の未来に思いをはせるための舞台装置なのです。

会期:2016年9月3日(土)~11月13日(日)
開館時間:10:00〜18:00(木・金曜は20:00まで)
休館日 :毎週月曜日(ただし月曜日が祝日の場合は開館し、翌平日休館)
観覧料 :一般1000円、学生800円、中高生・65歳以上700円
http://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-2565.html

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