SHIKIMEI REVIEW
ジュリアン・オピー展
2016年
アルミニウムにアクリル絵具のハンドペイント
ジュリアン・オピー展
2016年
アルミニウムにアクリル絵具のハンドペイント
ジュリアン・オピー展
2016年
映像アニメーション

ジュリアン・オピー展

MAHO KUBOTA GALLERY

ジュリアン・オピーの作品でもっともよく知られているのは、2000年にリリースされたブラーのベスト盤『ザ・ベスト・オブ』のジャケットかもしれません。デーモン・アルバーンをはじめとするメンバー4人の顔を、明快な線とあざやかな色彩で仕上げたイメージは、CDジャケットであると同時に、時代を象徴するアイコンとしても機能しました。このとき〝大量生産品〟と〝コンテンポラリーアート〟の境界線は消え失せたといっていいでしょう。

今回の構成は新作14点。ギャラリー内部に簡素な壁面を設け、ゆるやかに空間を分割したうえで、人物を描いたペインティングと、風景をとらえた映像作品が、互いに対をなすようなかたちで配置されています。ペインティングにおいても、映像においても、その表現は見事なまでの単純さに貫かれています。

ここで注意しておきたいのは、〝単純さ〟と〝単調さ〟は、まったく違うものだということです。前者があらわにするのは物事の本質であり、後者がもたらすのは退屈な時間でしかありません。必要最小限の要素だけで組み立てられているからこそ、オピーの作品は、わたしたち都市生活者の感情移入を誘うのです。

一方、人物画や風景画は、洋の東西を問わず、絵画表現における重要なジャンルとして位置づけられてきました。しかしながら、錯綜した現代社会の中で暮らすわたしたちのありようを真正面から捉えようとしたら、表現者たちは、たちまち困難に直面するに違いありません。

その点、オピーのアプローチは明快です。複雑さを複雑さのまま扱うのではなく、エッセンスを的確に抽出しつつ、具体的な手がかりをけっして手放そうとはしません。そして、そのような操作によって、連綿と続いてきた人物画や風景画の歴史を、軽々と更新してしまったのです。オピーの作品はコンセプチュアルアートやポップアートの正統な嫡子のようにも見えますが、より広い歴史的パースペクティブの下で捉え直すことも可能でしょう。

会期  :2016年10月19日(木)~12月3日(土)
開廊時間:12:00〜19:00
休廊日 :会期中 日曜・月曜および祝日
https://www.mahokubota.com

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