SHIKIMEI REVIEW
北斎の帰還—幻の絵巻と名品コレクション
所蔵:すみだ北斎美術館
北斎の帰還—幻の絵巻と名品コレクション
所蔵:すみだ北斎美術館
北斎の帰還—幻の絵巻と名品コレクション
所蔵:すみだ北斎美術館

北斎の帰還—幻の絵巻と名品コレクション

すみだ北斎美術館

2016年11月にオープンしたすみだ北斎美術館は、その名が示すとおり、葛飾北斎専門の美術館です。北斎は、宝暦10年(1760年)に本所割下水付近(現在の墨田区北斎通り付近)で生まれ、およそ90年にわたる生涯を近辺で過ごしながら、優れた作品を数多く残しました。ここは墨田区の誇りともいえる北斎を顕彰し、さらなる研究を進めるためのミュージアムなのです。

開館記念となる「北斎の帰還」という展示タイトルには、ふたつの意味が込められています。ひとつは、およそ100年余りも行方知れずとなっていた幻の絵巻「隅田川両岸景色図巻」が2008年に再発見され、海外から日本へ里帰りしたこと、もうひとつは、世界に散逸した北斎の名品が、生誕の地である墨田区にふたたび集められ、それらが北斎専門の美術館で展示されることを指しています。そう、名品とともに、北斎が〝すみだ〟に帰ってきたのです。

およそ7メートルもの絵巻「隅田川両岸景色図巻」は、壮年期の傑作のひとつに数えられるもので、両国橋から山谷堀あたりまでの隅田川両岸の景色が、いきいきと写し取られています。陰影法を交えた表現で、新吉原での遊興の様子が、細緻な筆遣いで描かれた優品です。墨田区所蔵の名品のなかから、北斎の肉筆画・錦絵・摺物・版本など前後期合わせて、およそ120点を選りすぐった展示も見逃せません。「冨嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」「山下白雨」「凱風快晴」をはじめとして、代表作の数々を間近に眺められるという意味では、たいへん貴重な機会です。

すみだ北斎美術館の設計は、日本の建築家を代表するひとり、妹島和世さんが手がけています。西沢立衛さんと設立した「SANAA」での活動を含め、これまでに、日本建築学会賞、ベネチアビエンナーレ国際建築展金獅子賞(イタリア)、プリツカー賞(アメリカ)、芸術文化勲章オフィシエ(フランス)、芸術選奨文部科学大臣賞、村野藤吾賞など、建築界の名だたる賞を総なめにしてきた才人です。すみだ北斎美術館も、淡い鏡面のアルミパネルを使用した外壁が印象的な仕上がりになっており、地域のランドマークとして機能するとともに、国内はもちろん、海外の建築ジャーナリズムからも大きな注目を集めています。

会期  :2016年11月22日(火)−2017年1月15日(日)
開館時間:9:30−17:30(入館は閉館の30分前まで)
休館日 :月曜日(祝日・振替休日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日−1月1日)
観覧料 :一般1200円、高校生・大学生900円、65歳以上900円、中学生400円
http://hokusai-museum.jp

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