SHIKIMEI REVIEW
舘鼻則孝 呪力の美学
Traces of a Continuing History Series, 2015, Photo by GION,
©NORITAKA TATEHANA, 2016
舘鼻則孝 呪力の美学
Homage to Taro Series : Heel-less Shoes “Sun”, Photo by Noritaka Tatiana,
©NORITAKA TATEHANA, 2016
舘鼻則孝 呪力の美学
舘鼻則孝ポートレート Photo by Noritaka Tatehana,
©NORITAKA TATEHANA, 2016

舘鼻則孝 呪力の美学

岡本太郎記念館

岡本太郎は、1948(昭和23)年に刊行した『画文集 アヴァンギャルド』で、〈対極主義〉という文章を記しています。その中から印象的な部分を引用します。

「今日峻厳な魂は、合理主義、非合理主義のいずれかに偏向し、安住すべきではない。またそれらを融合して中途半端なカクテルをつくるべきものでもない。精神の在り方は強烈に吸引し反発する緊張によって両極端に発する火花の熾烈な光景であり、引き裂かれた傷口のように、生々しい酸鼻を極めたものである」

ここで描かれているのは、相反する要素が互いに惹かれあうと同時に、大きな反発力によって極度の緊張を生み出そうとする、芸術家の心的風景に他なりません。太郎はこうした〝熾烈な光景〟の中に、精神の強度を、ひいては作品の強度を見ようとしたのです。

「舘鼻則孝 呪力の美学」展は、かつて太郎が唱えた対極主義を実践するかのように、岡本太郎と舘鼻則孝というふたつの個性が、互いに一歩も譲ることなく、激しい火花を散らす好企画。住居兼アトリエを改築した岡本太郎記念館を舞台に、〈ヒールレスシューズ〉で世界的に知られる舘鼻がオマージュを捧げるという試みです。キーワードは〝呪力〟。

オマージュを捧げるといっても、舘鼻のアプローチは大胆きわまりないもので、太郎的な造形感覚を採り入れつつも、一見しただけでは、太郎の作品なのか舘鼻の作品なのかわからないような〝得体の知れないもの〟をつくりあげています。太郎の内奥に深く入り込みながら、太郎的なるものを内部から食い破り、まったく別のかたちの呪物を拵えたといってもいいでしょう。

太郎について舘鼻はこう述べています。いわく「まやかしとでも思い込みたくなるくらいに納得のいかない孤高の存在」であると。しかし舘鼻もまた、太郎の孤高さに拮抗しうるだけの不可解な作品たちを生み出しました。この大胆不敵さは賞賛に値します。

会期  :2016年11月3日(木)〜2017年3月5日(日)
開館時間:10:00〜18:00(最終入館17:30)
観覧料 :一般620円、小学生310円
休館日 :火曜日(祝日の場合は開館)、年末年始(12月28日〜1月4日)および保守点検日
http://www.taro-okamoto.or.jp

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