SHIKIMEI REVIEW
仲條正義 IN & OUT, あるいは飲&嘔吐
「MADONNA BLUE」/仲條正義○○○展/ギンザ・グラフィック・ギャラリー/1997
仲條正義 IN & OUT, あるいは飲&嘔吐
『花椿 2010年1月号』/資生堂/2010
仲條正義 IN & OUT, あるいは飲&嘔吐
写真:藤塚光政

仲條正義 IN & OUT, あるいは飲&嘔吐

ギンザ・グラフィック・ギャラリー

仲條正義さんは1933年生まれのアートディレクターで、戦後日本のグラフィックデザインを牽引してきた第一人者のひとりです。1956年に東京藝術大学美術学部図案科を卒業後、資生堂宣伝部、デスカを経て、1961年に仲條デザイン事務所を設立します。その後、半世紀以上にわたり、斬新なデザインを生み出し続けるとともに、後進のデザイナーに大きな刺激を与えてきました。

しかし、仲條さんのデザインには〝重鎮〟や〝大御所〟といった語句から連想されるような重々しさはいっさいありません。それどころか、軽やかさや若々しさ、遊び心があふれています。仲條さんは東京まれの粋人ですから、その作風に江戸の戯作精神との共通性を見いだしてもよいのかもしれません。

展覧会について仲條さんはこんなことを記しています。

「これが最後とお引受けしてから約一年毎日作りました。長い時間をかければいいものではないとこの年で悟りました。半ばで引返せなくなり開き直ることにしました。変なものになりました。変なものは好きですが段々自分のものとも思えなくなるほど変になりました。毎回この次はましなものをと思いつつ終わるのでしょう」

「変なもの」という言葉どおり、〈MOTHER & OTHERS〉と題された新作22点は、ストレンジなのにキュート、シャープなのにユーモラス、そんな空気に満ちた愉快なグラフィックとなっています。色彩と造形と構成の遊びは実に仲條さんらしく、「この次はましなものを」どころか、相も変わらぬ天才ぶりを示す作品群といっていいでしょう。

仲條さんの仕事は多岐にわたりますが、多くの人々が目にしたという点で、もっともよく知られているものは、資生堂の企業文化誌『花椿』のアートディレクションおよびデザインではないでしょうか。1968年から2011年まで、仲條さんが担当したものは、なんと500冊前後。その中からセレクトされた200冊がずらりと並ぶ様子は壮観の一語に尽きます。華やかな誌面をミクストアップすることでかたちづくられた巨大な平面。そのダイナミックな見せ方からは、展示台全体をひとつのグラフィックとして成立させたいという意志を感じます。

また、壁面には1971年から近年のものまで、自身の展覧会のために制作したポスターが並んでいます。どれも時代を超えたものばかりで、優れた小説家が固有の文体を持っているように、卓越したグラフィックデザイナーもまた、固有のスタイルを有していることが理解できるでしょう。デザインに携わる方や関心がある方には、ぜひ足を運んでほしい展覧会です。

会期 :2017年1月13日(金)−3月18日(土)
時間 :11:00−19:00 ※2月6日(月)は18:00まで
休館日:日曜・祝日
http://www.dnp.co.jp/gallery/ggg/

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