SHIKIMEI REVIEW
天明屋尚「形質転換」
飛ビ出ス百鬼夜行洛中洛外図屏風 2017
六曲一双屏風、紙、釘、アクリル絵具、ラッカー 各172x377x12.2cm
撮影:宮島径 ©TENMYOUYA Hisashi, courtesy Mizuma Art Gallery
天明屋尚「形質転換」
黒漆色々威朱塗兜二枚胴具足机器人 2017
鉄、鎖、布、木、LED、紙、コード、羽根、テープ他 H201xW55xD59cm
撮影:宮島径 ©TENMYOUYA Hisashi, courtesy Mizuma Art Gallery
天明屋尚「形質転換」
婆娑羅枯山水 2017
木、メッキ、LED、コード、ブロンズ粘土、 鉄、ネジ他 40x67x7.8cm
撮影:宮島径 ©TENMYOUYA Hisashi, courtesy Mizuma Art Gallery

天明屋尚「形質転換」

ミヅマアートギャラリー

天明屋尚さんは、デビュー当初より、日本画の世界に現代風俗を取り入れた〝ネオ日本画〟というテーマを掲げるとともに、絵筆で闘う〝武闘派〟を名乗ってきました。2009年には、侘び・寂び・禅の対極にあり、華美(過美)で、覇格(破格)な美の系譜を〝BASARA〟と命名。同名の書籍を刊行するとともに、グループショウ「BASARA展」を開催し、国内外で精力的な活動を続けてきました。

2年ぶりの個展「形質転換」では、こうした方法論が進化(深化)を遂げ、余人の追随を許さない領域に足を踏み入れていることがわかります。タイトルの〝形質転換〟は生物学の用語で、外部から与えたDNAを遺伝情報として組み込み、個体の表現型を変化させることを意味しています。物質が元来もっている組成や由来を踏まえたうえで変化させるという点で、無方向的な〝突然変異〟とは異なります。

これは天明屋さんの歩みにふさわしいアナロジーで、すなわち「日本美術のコンセプトや組成を踏襲したうえで、偶発的ではなく、確信犯的な改変を仕掛けること」を指しているのです。

今回の展示では、幕末明治期作とされる作者不明の洛中洛外図屏風(六曲一双)を変容させた巨大な作品を中心に、仏画の明王図や琳派の紅白梅図屏風を現代的に改変したもの、鎧兜を変異させた立体などが並びます。天明屋さんとしては初挑戦の写真作品もあり、これも今後の方向性を示唆するという意味では、興味深い仕上がりとなっています。

モビルスーツや重機動メカ、装甲騎兵、人型決戦兵器……等々の系譜に連なるような造形や意匠をふんだんに投入した作品は、歴史改変SFのような世界観を打ち出しています。また、大友克洋「信長戦記」とダフトパンク「ワン・モア・タイム」の出会いといった趣を感じさせる作品や、アディダスの名品〈スーパースター〉を和様化したものもあり、日本美術史への介入/改変/再構築が、そのままエンタテインメントとしても通用するというアプローチが楽しめます。

琳派、円山派、武者絵、洛中洛外図、仏画、鎧兜……等々、さまざまな流派や系譜に敬意を表し、多くの着想を得ながらも、伝統的な形式を崩し、現代的なイメージへと変容させる天明屋さん。その最新の成果をお見逃しなく。

会期 :2017年1月10日(火)−2月10日(金)
時間 :11:00−19:00
休廊日:日曜・月曜・祝日
http://www.mizuma-art.co.jp

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