SHIKIMEI REVIEW
ウィリアム・クライン「Dance Happening, Tokyo 1961」
© William Klein Courtesy of Akio Nagasawa Gallery
ウィリアム・クライン「Dance Happening, Tokyo 1961」
© William Klein Courtesy of Akio Nagasawa Gallery
ウィリアム・クライン「Dance Happening, Tokyo 1961」
© William Klein Courtesy of Akio Nagasawa Gallery

ウィリアム・クライン
「Dance Happening, Tokyo 1961」

Akio Nagasawa Gallery

1956年に発表した『ニューヨーク』で、写真界に大きな衝撃を与えたウィリアム・クライン。アレやブレ、ハイコントラストといったラディカルな手法は、アメリカやヨーロッパだけでなく、若き日の森山大道さんや中平卓馬さんなど、日本の写真家たちにも強い影響を与えました(ちなみに、2012年から2013年にかけて、ロンドンのテートモダンでは「ウィリアム・クライン+森山大道」という二人展が開催されています)。荒々しくざらついたモノクロームの都市風景は、外界をどう捉えるかという視点とともに、認識論的な転回をもたらしました。これは写真史における事件だったのです。

クラインは1961年に来日し、後に『東京』としてまとめられることになる写真を撮影しますが、その際、大野一雄、土方巽、大野慶人の路上パフォーマンスも捉えていました。一部は『東京』に収められていたものの、ほとんどの写真は未発表のまま。今回、クラインのスタジオに眠っていたフィルムから、都市をさまよう異形の者たちの姿が、56年ぶりによみがえったのです。

オリンピック目前の東京を舞台に、街中でゲリラ的に身体表現を行う3人の舞踏家たち。そして、彼らの身ぶりや動きを、たぐいまれなる構成力でもって写し取ったクライン。東京という都市と舞踏家の肉体とのダイナミックな交歓に、写真家もまた、すばやく反応し、都市と肉体、それぞれの動態を生々しくフィルムに焼きつけたのです。ここには異界としての東京が幻視されています。と同時に、日本が生み出した特異な表現である舞踏の最初期の様子を伝える記録写真でもあり、その意味でもたいへん貴重なものとなっています。

この「Dance Happening, Tokyo 1961」は、2016年のアルル国際写真フェスティヴァルで発表された、Akio Nagasawa Galleryの企画「Kazuo Ono By Eikoh Hosoe and William Klein」を再構成したもので、いわば凱旋展。タイトルが示すように、フランスでは細江英公さんとの二人展というかたちを採りましたが、今回はクラインの作品のみで構成されています。その分、クラインの特質が、よりいっそう浮き彫りになったといえるでしょう。

なお、会期中の2月4日(土)、被写体のひとりである大野慶人さんによる舞踏公演を、ギャラリー内で開催するとのこと。半世紀以上も前に撮影された写真を前に今年79歳となる大野さん自身が踊るという、時空を超えたセルフコラボレーション(!)であるとともに、表象としての写真と実在としての肉体のただならぬ緊張関係が味わえそうです。料金や申し込みなどの詳細はこちらを。
http://www.akionagasawa.com/jp/shop/event/event/yoshito-ohno%E3%80%80special-performance/

会期 :2017年1月11日(水)−2月26日(日)
時間 :11:00−19:00
休館日:月曜・火曜
http://www.akionagasawa.com/

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