SHIKIMEI REVIEW
ob「あわいにゆれる光たち」
© ob/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
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PHOTO: IKKI OGATA

ob「あわいにゆれる光たち」

カイカイキキギャラリー

2011年に18歳という若さでカイカイキキギャラリーでの個展を成功させたobさん。新世代アーティストとして多方面より大きな注目を集めてきましたが、あれから6年、今回の展示では、本質的な部分はまったく変わらないまま、よりいっそう伸びやかな世界観を提出し、作家としての成長をまざまざと感じさせてくれます。

obさんの主題は、透明感あふれる〝少女性〟や、それにともなう〝イノセンス〟といっていいでしょう。けれども、以前の作品が内省的だったとすれば、新作は外界へと開かれ、風通しのよい印象を与えます。描かれているのは、少女が風景であり、風景が少女でもあるような世界。淡々しい光がきらめき、心地よい風が行きわたる景色は、なぜか懐かしく、しかし、どこか喪失感を湛えているようにも見えます。

繊細な、あまりにも繊細なマチエールが可能にしたのは、具象であり、かつ抽象でもあるといったような、独特の〝あわい〟の空間です。具象と抽象の間で宙吊りとなった少女は、夢のような儚さを纏いながら、どこでもないどこかで揺れ動いているのです。

文芸評論家の小林秀雄はセザンヌの作品を評して、「色の反映に抗して、固有色が、線が、構造が頑固に現れ出ようとする」と記しましたが、これをもじっていうなら、obさんのキャンバスには「心象の反映に抗して、少女が、無垢が、風景が頑固に現れ出ようと」しています。そこに在るのは、landscape ならぬ、girl-scape とでも呼びたくなるような、きわめて内的な風景なのです。あるいは、英国の作家J・G・バラードが1960年代に唱えた「内宇宙」なる概念を参照してもいいのかもしれません。というのも、それは「外的世界(現実)と内的世界(精神)が出会い、融合するところ」なのですから。

会場の中心には、立体作品の〈こんどうまれてくるときは〉も並んでいます。これは青森県立美術館で開催された「美少女の美術史」展のために、1か月間、青森に滞在し、現地制作したものを再構築したインスタレーションで、もともとは、東北地方に伝わる少女と馬との悲恋の伝説にインスピレーションを得たものだそうです。馬小屋の中で聖性が顕現するという点では、イエス・キリストの降誕を連想させもしますが、それゆえ、ここには神話的な世界が広がっているともいえるでしょう。

会期 :2017年1月20日(金)−2月23日(木)
時間 :11:00−19:00
休廊日:日曜・月曜・祝日
http://gallery-kaikaikiki.com

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