SHIKIMEI REVIEW
吉澤 美香 「共感—Empathy」
吉澤美香 たー77 2016 32.8×22.4cm(部分) グアッシュ、ユポ紙 photo© Tomonori OZAWA
吉澤 美香 「共感—Empathy」
吉澤美香 たー97 2017 150.0×150.0cm グアッシュ、ユポ紙 photo© Ken KATO
吉澤 美香 「共感—Empathy」
吉澤美香 たー76 2016 76.0×76.0cm グアッシュ、ユポ紙 photo© Ken KATO

吉澤 美香 「共感—Empathy」

ギャラリー・アートアンリミテッド

吉澤美香さんは、多摩美術大学在籍中の1982年から多様な抽象表現での個展を重ね20代にして「ドクメンタ8」や「サンパウロ・ビエンナーレ」に参加。国内外の数多くの美術館で作品を発表されている1980年代から現在まで出色の軌跡をもつ現代美術家です。

本展覧会のタイトルは作家があるテロリストの息子の著書を読み感銘を受けた「憎しみを超え他者の痛みへの共感によって平和な世界をめざした」というエピソードから着想されています。ちなみに前回2015年に開催された個展は、古代ギリシャの歴史家トュキディデスが『戦史』で記した戦争の3要素である「名誉・利益・恐怖」がタイトル。圧倒的な色彩対比の草花とスカル、ロゼット・トロフィー・メダルといったモチーフで鑑賞者の意識に深く問いかけました。そして、その自らの返答として制作されたのが今回の個展「共感—Empathy」なのです。

会場は一望するとPOPかつスタイリッシュ。動物をモチーフにした大小の作品がシンプルに展示されています。しかし、会場を離れるまでには時間が必要かもしれません。透明でありながら奥行きを感じさせる躍動でうねる不思議な背景、独特の光沢をたたえた精密な動物フィギュアに宿る生命の煌めきに、きっと目と心が引きこまれることでしょう。この見応えのある作品群は樹脂製の紙にグアッシュで描き拭きとるなどの独自の超絶技法で制作されています。

共感は憎しみを超える。——— 吉澤 美香(会場作家コメントより)

「どうしたら戦争はなくなるのか」と1度でも考えたことのある人、動物やフィギュアが好きな人、1980年代からアートシーンを注目している人にもそれぞれに共感ポイントが散りばめられている展覧会。ここには、2017年の不透明な社会情勢の「今」だからこそ1人でも多くの人と共有したくなる作家の「答え」が用意されています。

会期 :2017年5月10日(水)− 6月10日(土)
時間 :13:00 – 19:00
休廊日:日曜、火曜、祝日
http://www.artunlimited.co.jp/

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