SHIKIMEI REVIEW

近藤亜樹「飛べ、こぶた」

ShugoArts

近藤亜樹さんは、1987年に北海道で生まれ、東北芸術工科大学大学院(山形県)在学中に「絵画の申し子」といわれる類い稀な資質をShugoArtsに見いだされ東京に居を移し、精力的に創作活動をつづけ国内外での展覧会や枠組みを超えたプロジェクトで注目されるペインターです。現在は、2016年に「ここに自分の骨を埋めるのかもしれない」という直感かつ運命的な出会いがあった香川県の小豆島に移住。今まさに作家人生のネクストステージへの扉を開けた彼女の到達地点をリアルタイムに体感できる個展がはじまりました。

会場にある29点の作品は、昨年12月から今年5月にかけて東京、ロンドン、ミラノ、小豆島などを行き来する日々の中で得た経験や過去の記憶などを元に、実質3〜4か月で描かれたものです。圧倒的なスピードで描かれスパークする色彩、支持体からはみでる自由な躍動は、観るひとに豪速球のインパクトと感動をもたらすことでしょう。「3歳の頃から絵を描くことが好きで、母親は家中に白い紙を貼ってどこでも描きたいだけ絵を描ける環境にしてくれた」と近藤さん。2011年に東北で体験した震災後は、多くの方々が亡くなり、自分が生き残っていることを葛藤しながらも「絵って何だろう。アーティストって何?」と考えながら膨大なドローイングを重ね、ある時「考えているということは生きているからできることだ」という気づきがあり、それまでの「線路の上を走るトロッコのようなものに乗っているような感覚」が変化して、決められた線路から降りて「絵を描いて人に届ける生き方」を選択するに至ったといいます。展覧会タイトルの「飛べ、こぶた」の“こぶた”とは、そんな彼女自身のことなのだそう。そして「生きているものに美しさがある。人間という複雑な感情を持つ生き物から生まれるアートって汚さや狂気も含めた美しいもの。人それぞれの想像力の中にある。私にとって絵を描くことは呼吸や排泄行為と同じ。私は、絵を軸として生きている時にだけ、正しい判断ができるんです」と等身大の素直な言葉でいきいきと語ってくれました。

作家人生の課程でさまざまな経験をしながら、常にまっすぐに自分と向きあい、ついに瀬戸内海に浮かぶ新天地を見つけて、“伸びざかり飛びざかり”ともいうべき黄金期を迎えた近藤さん。同じ時代を瑞々しい感覚をたずさえて生きるこの作家が、これからどんな飛翔の軌跡を描いていくのか楽しみに思わずにはいられません。ShugoArtsの会場で、1番奧のひときわ色鮮やかに輝く最新作を目撃する人たちも、きっと同じ想い(希望と期待の「飛べ!!!こぶた!!!」)を共有するのではないでしょうか。

会期:2017年7月21日(金)– 8月26日(土)
時間:11:00 – 19:00
休廊日:日曜、月曜、祝日、夏期休廊:8月13日(日)– 8月21日(月)
http://shugoarts.com/

Top Photo
近藤亜樹, HOUSE, 2017, oil on panel, 227x362cm
copyright the artist courtesy of ShugoArts photo by Shigeo Muto

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