SHIKIMEI REVIEW
AMBIENT 深澤直人がデザインする生活の周囲展
《Cha クリーマー》ALESSI、2015年、アレッシィショップ青山 蔵
AMBIENT 深澤直人がデザインする生活の周囲展
《加湿器》±0、2004年
AMBIENT 深澤直人がデザインする生活の周囲展
《HIROSHIMA アームチェア》マルニ木工、2008年、株式会社マルニ木工 蔵

AMBIENT 深澤直人がデザインする生活の周囲展

パナソニック 汐留ミュージアム

深澤直人氏は、デザインに携わる者なら、国内外を問わず誰もが知るデザイナーです。アレッシィ、アルテミデ、ハーマンミラー、イッセイミヤケ、パナソニック、マルニ木工、無印良品など、世界中のクライアントと仕事をしています。しかし、代表作をひとつ挙げるとなると、戸惑う方が多いのではないでしょうか。実は、それこそが深澤氏の魅力だと思うのです。

深澤氏は、しばしば端的な言葉を用いて、自身のデザインを表現します。たとえば、「スーパーノーマル」。これは2006年に、イギリスのデザイナー、ジャスパー・モリソンと共同で開催されたエキシビションのタイトルにもなりました。会場には、ふたりがデザインした製品の他、栓抜きや喫茶店のコップ、サインペンなど、日常で特別に意識することのないものが並びました。斬新さを求めることばかりがデザインではなく、「ふつう」のものに価値を見出し、ポジティブに捉えようと試みたのです。そして、そうしたふつうのデザインは時としてロングセラーとなり、「ふつうを越えるふつう」として普遍的な価値を持つのです。

第二次世界大戦後のフィンランドで活躍したデザイナーにカイ・フランクがいますが、彼は食器の「キルタ(現在のティーマ)」やグラスの「カルティオ」などを発表し、その機能美に優れたテーブルウェアは、フィンランドの食卓の定番となりました。デザイナーの名前を知らずとも、ただふつうにそこにあったのです。それから半世紀の時間を経て、深澤氏は時代のライフスタイルに合わせたスタンダードを生み出そうとしているように感じるのです。余談になりますが、カイ・フランクは来日の際、民藝の関係者と交遊し、共感し合ったそうです。そして現在、深澤氏は日本民藝館の5代目館長を務めています。

本展のタイトルでもある「ambient」は、直訳すると「環境」になりますが、深澤氏は「周囲、雰囲気」と捉えています。環境が要請するもの、そこにあるべきものを生み出し、環境とものが相互に作用することにより、いい雰囲気が醸し出されることを実践しています。

表層的なかたちだけでなく、その深層にある深澤氏の思想に触れていただきたいと思います。

会期:2017年7月8日(土)- 10月1日(日)
時間:10:00 – 18:00(入館は17:30まで)
休館日:水曜、8/14(月)〜16日(水)
入館料:一般:1000円、65歳以上:900円、大学生:700円、中・高校生:500円 小学生以下無料
https://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/17/170708/

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