SHIKIMEI REVIEW
色絵の器 -天啓赤絵・呉州赤絵・古伊万里赤絵-
〔呉州赤絵〕色絵瓢箪瑞獣文皿 明時代 17世紀前半 径36.8㎝
色絵の器 -天啓赤絵・呉州赤絵・古伊万里赤絵-
〔天啓赤絵〕色絵丸文繋鉢 明時代 17世紀前半 幅22.7㎝
色絵の器 -天啓赤絵・呉州赤絵・古伊万里赤絵-
〔古伊万里赤絵〕色絵蓮池翡翠文皿 江戸時代 17世紀中葉 径36.4㎝

色絵の器 -天啓赤絵・呉州赤絵・古伊万里赤絵-

日本民藝館

日本民藝館は、ある意味不親切です。作品についての解説は最小限で、順路すら記されていません。でも、そのぶん、先入観なく作品と対峙できますし、過去から未来へ、あるいは未来から過去へ、と観覧の順番を変えることで違った視点を得られることがあります。現在開催中の「色絵の器-天啓赤絵・呉州赤絵・古伊万里赤絵-」では、そうした体験をしました。

最初に見たのが古伊万里赤絵であり、次に濱田庄司、芹沢銈介、合田好道ら、工芸作家の作品でした。中国から伝わった色絵は、日本の美意識と結びつき、古伊万里で発展し、さらに工芸作家によりモダンに昇華されました。本来の民藝の概念とは相容れないのですが、それらはアートと呼ぶにふさわしいと思えるものでした。

それから、2階の大展示室で、日本に伝わる以前の中国の「天啓赤絵」「呉州赤絵」を見ました。天啓赤絵とは、古染付に赤、緑、黄、黒の色絵具で上絵付したもので、明代末期の天啓年間(1621〜1627)を中心とした短期間に焼かれました。呉州赤絵とは、明代後期に福建省の漳州窯で焼かれた輸出用の色絵磁器の日本での呼び名です。

正直、濱田らの作品を見た後では、物足りなく感じました。しかし、一度ではなく二度、三度見て、そして民藝館の方の説明を受けるうちに、違った印象を持つようになりました。考えてみるとあたりまえのことなのですが、日本に伝わってからのものは、天啓赤絵や呉州赤絵の古作を手本とし、古伊万里で日本的な美と融合し、そして日本を代表する工芸作家が手がけたアップデートされたものなのです。洗練されているのは言うまでもないのです。

それからは、できるかぎり明代以降の中国に思いを馳せ、作品に向き合いました。今では誰が作ったのかもわからない器は、偶然かあるいは計算されたのかは知る由もありませんが、大胆な構図と絵柄、色づかいで迫ってきました。もし、大展示室から時代を下りながら見ていたら、素直にルーツに敬意を払いながら観覧したかもしれませんが、自分のなかでの価値観の変換はなかったように思います。

繰り返しますが、日本民藝館には順路はありません。感じるままに部屋をめぐればいいと思います。でも、できれば時間をかけて。

会期 :2017年6月27日(火) − 8月27日(日)
時間 :10:00 – 17:00(入館は16:30まで)
休廊日:月曜(祝日の場合は開館し、翌日休館)
入館料:大人1,100円、高大生600円、小中生200円
http://www.mingeikan.or.jp/

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