SHIKIMEI REVIEW
ジャコメッティ展
アルベルト・ジャコメッティ 《歩く男Ⅰ》
1960年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス
Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)
ジャコメッティ展
アルベルト・ジャコメッティ 《犬、猫、絵画》
1954年 リトグラフ、ヴェランダルシュ紙 マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス
Photo Claude Germain –Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)
ジャコメッティ展
アルベルト・ジャコメッティ 《犬》
1951年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス
Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

ジャコメッティ展

国立新美術館

国立新美術館開館10周年記念として開催されている「ジャコメッティ展」への来場者が10万人を突破したと報じられました。スイスで生まれ、フランスで活躍したアルベルト・ジャコメッティ(1901-1966)は、20世紀のヨーロッパにおける最も重要な彫刻家として今も世界中で人々の関心を集めている芸術家です。針金のように細長く、陽炎のように揺らいでいるようなジャコメッティの人物彫刻には、いちど見たら忘れられない強烈な個性があります。この展覧会では、初期から晩年までの彫刻や油彩、素描、版画など選りすぐりの132点もの作品が展示されています。そして豊富な関連資料やジャコメッティ自身の言葉によって「なぜこのようなスタイルになったのか?」という疑問にも、自分なりの答えをみいだすことができるでしょう。

「ある作品が真実であればあるほど、その作品はスタイルをもつ。」—ジャコメッティ

ジャコメッティは、自分の眼で見えるままの表現をするためにアトリエでモデルに向き合うだけではなく、 “これが最も素早く描ける”という理由でリトグラフ用の鉛筆を持ってパリの街角へ出かけたといいます。驚いたことに、展示されているカフェの紙ナプキンや読みかけの新聞紙に描かれた人物の絵は、よく知られる彼の人物彫刻のように細長くはなく、おそらく誰が見てもとてもよく描かれたデッサンと思うほどのものだったのでした。

「もの」に近づけば近づくほど、「もの」が遠ざかる。—ジャコメッティ

会場には、共同でアトリエを構えジャコメッティを献身的に支えた弟のディエゴとの日々や、日本の哲学者・矢内原伊作やパリのシュルレアリスト達との交流や表現の記録も展示されています。そして膨大な作品展示のさいごの方では、やせ細った犬がうなだれて歩いている彫刻に遭遇。この作品だけはパリの街角でみた犬に「自分」を重ね合わせて表した彫刻なのだそう。その犬にはどこか侘しくも鬼気迫る気配すら感じます。それは、自分の「まなざし」を信じて真摯に自分や対象と向き合い膨大な作品を生み出していったジャコメッティの壮絶な作家人生に暫く想いを馳せずにはいられないほど。この展覧会をみた私は彼に伝えたくなりました。「あなたがパリや人間を愛したようにパリやパリで交流のあった人たちに愛されていた。そして今も世界中であなたの作品は脚光を浴び、人々のなかに感動を生みだし続けている」と。

「試みること、それがすべてだ。」—ジャコメッティ

会期:2017年6月14日(水) – 9月4日(月) ※毎週火曜日休館

時間:10:00 – 18:00 / 金・土曜日は20:00まで入場は閉館の30分前まで

観覧料(当日):1,600円(一般)、1,200円(大学生)、800円(高校生)、中学生以下無料

展覧会HP:http://www.tbs.co.jp/giacometti2017/

国立新美術館HP:http://www.nact.jp/exhibition_special/2017/giacometti2017/

豊田市美術館HP:http://www.museum.toyota.aichi.jp/

※豊田市美術館での展示会期は10月14日(土)-12月24日(日)

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