SHIKIMEI REVIEW
パオラ・ピヴィ個展 “THEY ALL LOOK THE SAME”
#1-Paola Pivi View of the exhibition They All Look The Same at Perrotin Tokyo, 2017. Photo: Nacasa & Partners Inc. Courtesy Perrotin
パオラ・ピヴィ個展 “THEY ALL LOOK THE SAME”
#3-Paola Pivi View of the exhibition They All Look The Same at Perrotin Tokyo, 2017. Photo: Nacasa & Partners Inc. Courtesy Perrotin
パオラ・ピヴィ個展 “THEY ALL LOOK THE SAME”
#4-Paola Pivi "It was my choice" 2017 Cast iron, engine, pavo cristatus feathers Diameter : Ø 192 cm | Ø 75 9/16 in Depth : 39.5 cm | 15 9/16 in Wheel : Ø 64 cm | Ø 25 3/16 in Photo: Nacasa & Partners Inc. Courtesy Perrotin

パオラ・ピヴィ個展 “THEY ALL LOOK THE SAME”

ペロタン東京

ペロタン東京のオープニング第2弾として、ヨコハマトリエンナーレ2017に参加し大きな注目を集めているパオラ・ピヴィさんの個展が開催されています。ペロタン東京では、ポーラー・ベア(北極熊)が宙に浮かび、壁にはネイティブアメリカンのドリームキャッチャーを連想させる美しいオブジェが並んでゆっくりと回転しています。その空間は、カラフルでコンテンポラリー。とても心地よく、ハッピーな感覚をもたらしてくれます。そして作品から受ける印象は、来日中にお話をうかがったパオラさん本人と、そのまま一致するものでした。

イタリアで生まれたパオラさんは、ひとつの場所に定住することなくアラスカやインドなど各地でアート制作をおこなっています。「若い頃の色んなことを考える時期、私はアートを唯一つくりがいのある価値あるものと考えていたの。その考えは後に変化したのだけれどね。年を重ねるうちに“しぜん”にアートを制作することが重要になったの。」そう語るパオラさんは、技術者として働いていた経歴をもっています。1994年(24歳の頃)に会社を辞めて進路を変更。その後アートアカデミーで学び、エアロビクスの先生をしながら作品制作をつづけた歳月を経て、2000年にペロタンとの出会いがあり現在のように国際的に活躍するアーティストになりました。「以前、心おどるビジョンをもって白熊と茶色の熊がダンスする作品をつくった時、友人がつけていたスカーフに羽根がついていたことにインスパイアされて羽根で熊をつくったの。」とパオラさん。溶けてしまうアラスカの氷を思い出させる熊を作品モチーフにしたり、身近なものをもちいて作品をつくっていることも彼女のしぜんな行いなのです。また、羽根と熊、羽根と車輪という“斬新な組み合わせ”に驚きましたが、もっと驚いたのは、それらが現実の空間に調和して気持ちよさそうに佇んでいることでした。「作品を制作する際は、私の精神の深いところからつくっているの。私にとってアートはコミュニケーション手段のひとつ。ある意味、超能力みたいなものね。1秒間アートを見ただけで多くのことを学ぶことができる。そしてアートは常に見るひととの関係性を変えるの。アート作品を寝室に置いてみたら朝起きて観るたびに感じ方も変わるはず。今履いている靴と私の関係性は変わらないけどね。」そういって笑うパオラさんは、引っ越しが多い生活のため自宅には作品や物を置かず“清潔/空っぽ/心地いい/窓からの景色がよい”処に住むよう心がけているのだそう。

個展「THEY ALL LOOK THE SAME(全部みんな同じにみえる)」やヨコトリでの「I&I MUST STAND FOR THE ART(芸術のために立ち上がらなければ)」のタイトルも作品同様インパクトがありイメージが広がるものでした。「個展のコンセプトは“ハッピー・コミュニケーション”。感じてくれたものが、すべてなのよ。タイトルには様々なことが含まれていて反応にスイッチを入れるもの。私の夫(音楽家:Karma Culture Brothers)が名付けていて、I&I…はボブ・マーリーの音楽から着想されたものなの。これには私たちがチベットで養子を迎えて数年間、法的な困難があったことが背景にあるの(現在は解決済)。」ヨコトリで展示されていた母熊にくっついている小熊が抱きしめたくなるほど可愛らしかったのはお子さんをイメージしてつくったからでしょう。そんなパオラさんに今最も大切にしていることを尋ねると「それは愛よ。その前提として健康とライフがあるわ。まずは、生きていないとね。」と答えてくれました。

奧の空間では「沢山のカプチーノを置いた部屋にレオパードを放って撮った」という写真作品や有名な飛行機の作品も掲載されている「作品集」も観ることができます。彼女のつくる作品が親しい人に語りかけるように“活き活き”しているのは、きっと愛が根底に流れているから。そしてペロタン東京での個展は、アートファンや専門家はもちろん “現代美術は難しそう”と思っていた人たちもみんな、そこにあるすべてを心のおもむくまま楽しむことができるでしょう。

会期:2017年8月26日(土) – 11月11日(土)
時間:11:00 – 19:00
休館日:日曜、月曜、祝日

http://www.perrotin.com/exhibitions/paola_pivi-they-all-look-the-same/3415

ART

INTERVIEW

BOOK