SHIKIMEI REVIEW
フランス人間国宝展
茶碗 Tenmoku(天目)2017年
陶器 ジャン・ジレル ©Philippe Chancel
フランス人間国宝展
イシス:豊穣の女神(モドゥジャリ共作) 2013 年
傘 ミシェル・ウルトー ©Greg GONZALEZ
フランス人間国宝展
羽根細工 ネリー・ソニエ @Philippe Chancel

フランス人間国宝展

東京国立博物館 表慶館

フランスの人間国宝(メートル・ダール)は、日本の通称「人間国宝」(重要無形文化財の保持者)の称号にならい、伝統工芸の保存・伝承・革新を旨としてフランス文化省により1994年に創設されました。本展は、この「メートル・ダール」の認定を受けた13名の作家と、まだ認定はされていないものの素晴らしい作品を制作している2名を加えた15名の作家による約230件の作品を紹介する世界初の展覧会です。

会場に入ると、作品よりも前に建築家リナ・ゴットメ氏が手がけた、美意識がすみずみまで行き渡る“空間デザイン”に圧倒されることでしょう。例えば、ジャン・ジレル氏による複数の陶器作品には、茶碗の底に潜む神秘的な煌めきを1つひとつピンスポット照明で魅せるなど、主役である作品の魅力を最大限に引きだし高める演出で、観る人を別次元に誘います。
ここには、「陶器、鼈甲細工、革細工、金銀細工、麦わら象嵌細工、壁紙、真鍮細工、傘、扇、折り布、銅板彫刻、紋章彫刻、エンボス加工(ゴフラージュ)、羽根細工、ガラス」といった幅広い分野の名品が展示されていますが、どの作品も伝統工芸品であると同時にフランスの伝統工芸の多様性を表すアート作品であることにも気づかされます。これらはフランスの出品作家たちが各人独自の文脈で1つの専門分野に打ち込み、卓越した技と情熱をもって類い稀なものづくりをすすめることで生まれた現代のものづくりの結晶なのです。それは精緻な技と意匠でつくりあげられた傘1本を凝視するだけでも明らかで「今手に入れたい。使ってみたい!」と感じる鑑賞者も多いのではないかと思います。

19世紀半ばのフランスでは「万国博覧会」などをきっかけに日本美術や工芸品などが注目され人気を博し“日本趣味”をあらわす「ジャポニスム(仏語:Japonisme)」という言葉が辞書に掲載されていました。時は流れて21世紀に開催されている本展覧会には、日本とフランスに通じる「美と伝統」という価値観をあらためて共有し、成熟社会の未来を丁寧に紡いでいくためのヒントが宝石のように煌めいているように感じます。

会期:開催中 – 11月26日(日)
時間:9:30-17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜 ※金曜、土曜、11月2日(木)は21:00まで。
入場料:一般1400円、大学生1000円、高校生600円、中学生以下、障がい者と介護者1名まで無料(入館時に障がい者手帳などをご提示ください)。20名以上の団体は前売の100円引。
会場:東京国立博物館 表慶館
住所:東京都台東区上野公園13-9
お問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
HP:www.fr-treasures.jp/

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