SHIKIMEI REVIEW
Takeshi Murata 個展「Living Room」
“Ziggy” 2017 H100xW103xD7cm
ポリウレタン、ポリエステル樹脂、自動車用エナメル塗料、コーティング塗料
©︎Takeshi Murata Photo by Keizo Kioku Courtesy of YAMAMOTO GENDAI
Takeshi Murata 個展「Living Room」
“Electrolyte” 2012 ピグメントプリント H160xW213cm
©︎Takeshi Murata Courtesy of YAMAMOTO GENDAI
Takeshi Murata 個展「Living Room」
"Night Moves" 2012 シングルチャンネルビデオ 06min 01sec.
©︎Takeshi Murata Courtesy of YAMAMOTO GENDAI

Takeshi Murata 個展「Living Room」

山本現代

作家に個展名の由来をたずねると「リビングルームっていう響きが好きなんだ」と軽快な英語のレスポンス。ムラタタケシさんは、1974年アメリカのシカゴ生まれ。ロードアイランド・スクール・オブ・デザインで映像とアニメーションを学んだ後にニューヨークを経て、現在ロサンゼルスを拠点に活躍するアーティストです。NYの革新的なギャラリーサロン94やサンフランシスコのレイシオ3に所属し、ハーシュホーン美術館(ワシントン)での個展をはじめMoMA、New Museum(ニューヨーク)、MOCA(ロサンゼルス)といった米国内の美術館だけでなく中国やポーランドなど海外での展覧会にも参加。水面の絶え間ない動きを、3Dソフトとストロボライトで視覚的な錯覚をつくり空間に立体を出現させる「Melter 3-D」や極彩色のアニメーション・パターンで観る人を異空間にひき込む「Pink Dot」など、デジタルとアナログをミックスしたアート制作でも知られています。

そんなムラタさんの個展会場に入ると、キラキラで艶艶のド派手な半立体オブジェが目に飛び込んできて一瞬で愉快なフィーリングに。日本のデコトラはたまたローライダーの改造車?それともイタリアのメンフィス・デザイン(ソットサス)やアメリカンダイナーのシートがモチーフ?なんて作品からのインパクトと同じくらい作家のもつ背景に好奇心が沸騰。ムラタさんは大衆コミックやB級映画、実験映像など米国生活で触れてきた“主流ではないカルチャー”に影響を強く受けていて「日本のアニメやサブカルチャー、宇川直宏さんの作品も大好きだよ」といいます。ちなみに本作品は、山本現代の提言とサポートにより制作されたとのことで、その試みもスパークしています。

かたやメインとなるCGによる写真作品は、不気味なほど静かな気配。人がいないリビングルームやバルコニーには「どうしてここにコレが?」という物たちが置かれていて、複数の疑問とともに観る人に何通りものストーリーを発動させることでしょう。そして“どこかにありそうでどこにもなさそうな”場所の日常における凪のような虚無を“垣間見てしまった感”さえするのです。この不可思議な作品群は、作家がいちどミニチュア空間をマケットでつくってからCG写真に変換するというアナログ×デジタル手法でつくられました。奥の空間では、作家の自由なクリエーションマインドをダイレクトに感じさせる現実と非現実が混在するようなCG映像が大きなスクリーンに投影されていて、ループする映像の光を浴びたいだけ浴びることができます。さらに見終わった後には、ハイパーリアルなCG作品のリビングルームで感じた疑問の続きを、自宅のリビングルームでふと考えることになるかもしれません。

期間:2017年10月21日(土)- 12月22日(金) ※会期延長
時間:11:00-18:00(火/水/木/土)11:00-20:00(金)
会場:山本現代 YAMAMOTO GENDAI
住所 : 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F
HP : http://www.yamamotogendai.org

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